「究極の鍛錬」という本を読みました。原題は「Talent is overrated」。
いかにして人はその専門分野で達人となることができるのか、ということに関する本です。
- 作者: ジョフ・コルヴァン,米田隆
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2010/04/30
- メディア: 単行本
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才能がないと達人にはなれないのか
原題は「才能は過大評価されている」という意味ですが、達人は才能があったからそうなれた、つまり才能がないと達人にはなれないのかという問いに、NO と言い、重要なのは生まれつきの才能よりも、寧ろ訓練の内容とどれほどそれに時間を投資してきたかだと唱えます。
ゴルファーのタイガー・ウッズ選手を始めとして様々な達人を挙げ、彼らは後述する「究極の鍛錬」を幼い頃から始め、そして取り組み続けられた(タイガー・ウッズ選手の場合、良き指導者だった父が重要な要素でした)から偉業をなす人物となったといいます。
また、様々な偉人の研究によると、様々な分野で達人となった人物は、それを始めた当初から優れていた訳では決してなかったという例を多く挙げていきます。
究極の鍛錬はとても厳しいものだが、それに取り組み続けることができれば、誰でも達人になれるというのが筆者の意見です。
究極の鍛錬とは
究極の鍛錬とは、その分野で向上し続け抜きん出た腕を身につける為の、5つの特徴をもった訓練のことです。
- 実績向上のために特別に考案されている
- 何度も繰り返すことができる
- 結果へのフィードバックが継続的にある
- 精神的にはとてもつらい
- あまりおもしろくはない
実績向上のために必要な要素を的確に認識し、その点を強く意識して取り組まなければなりません。
取り組むべき活動
ノエル・ティッシーは、3つの同心円で説明します。一番内側の「コンフォートゾーン」、その外の「ラーニングゾーン」、一番外の「パニックゾーン」です。
コンフォートゾーン
もう既にできるので、これに取り組み続けても進歩はできない活動領域。
パニックゾーン
現在の自分にはまだ難しすぎることなので、どのように取り組めば良いかすら分からない活動領域。
ラーニングゾーン
身に付けようとしている技術や能力がもう少しで手に届く活動領域。この領域のものを強化することで成長する。 ただし、自分でこの領域を明確にするのは難しく、継続的にこの領域に自身を置くことは更に難しい。
そして、この領域のものがコンフォートゾーンになるまで、途方もない回数でも訓練を繰り返さなければなりません。 逆に言えば、相当な数繰り返されるものを練習内容にしなければなりません。
継続的なフィードバック
訓練の成果(フィードバック)を意識しなければ、注意深く練習しなくなり、上達しなくなります。
ただしフィードバックは、コーチやメンターなどの他者からのものであることが欠かせない訓練もあります。訓練の結果を「判断」しなければならないようなものです。
とても辛くて面白くない
上記のことをよく考えずに、とりあえず何かをし続けるだけの普通の人がする練習と究極の鍛錬との大きな違いは、上記のように、対象を絞り込んで集中して努力しなければならないことです。
自分の不得意なこと・不十分な成果に、厳しい目で向き合い続けることは、精神的にとても辛く面白くないことなので、一日4〜5時間、1セッション単位では1〜1.5時間しか続けられないそうです。
これば、逆に言うと、究極の鍛錬は一日中はできないので、究極の鍛錬なら、それぐらいの長さだけでも良いということでもあります。
感想
いよいよ1600文字になりつつあったので紹介はここまで。とはいえ主要な内容はこんな感じですね。
その他は創造性やなどについても言及してありました。
何を始めるにも究極の鍛錬の特徴を踏まえて取り組めば、素人考えでただ思いつくことを漫然と繰り返して時間を浪費するよりかは効率的に上達できそうですね。